行政対象暴力について
行政対象暴力とは、暴力団等(暴力団、暴力団員、暴力団準構成員、暴力団関係企業、総会屋等及び社会運動等標ぼうゴロ、特殊知能暴力集団をいう)が不正な利益を得る目的で、国や地方公共団体等の行政機関又はその職員を対象として行う違法又は不当な行為を「行政対象暴力」と呼び、暴行や脅迫等を手段として用い、不当な要求を行い、不正な利益を得ようとする事案をいいます。
行政対象暴力の形態
行政対象暴力の形態には行政機関の持つ権限の行使を要求する「権限行使要求型」と、名目の如何を問わず、行政機関又はその職員に金品を要求する「金品要求型」があります。
両形態とも、暴力団等の有力な資金源の一つとなるばかりでなく、公平公正であるべき行政の権限行使を歪めるものです。
また、暴力団等は企業等に対しても不当要求を行っています。金品要求型は両者に共通する要求ですが、権限行使要求型は行政機関に対してのみ行われる独特のものであり、これに応じてしまうと、行政への信頼を大きく損ねてしまいます。
- 権限行使要求型
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暴力団関係企業を公共工事の下請業者とするために、元請業者に対する行政機関の指導監督権限を不当に行使させようとするなど、行政機関の有する許認可、指導監督、公金支給等の権限を自己又は第三者の有利となるように行使することを要求するもの。
- 権限行使要求型
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機関誌(紙)の購読、図書、物品等の購入など、名目の如何を問わず、行政機関又はその職員に金品の提供を要求するもの。
行政対象暴力の検挙事例
- 検挙事例 (1)
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山口組傘下組織幹部が、市から市民税の滞納を理由として生命保険の支払請求権を差し押さえられたことに立腹し、市の担当者に対し、「なんで生命保険が差し押さえられてるんや。今すぐ外せ。今から市役所行って、大声出して、暴れるからな。」などと電話で脅迫して差押えの解除を強要した。
(大阪府警)
- 検挙事例 (2)
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住吉会傘下組織組員らが、倒産企業の従業員への未払い賃金を政府が立て替える制度を悪用して金を騙し取ることを企て、会社が倒産した旨の虚偽の申請を関係機関にするなどし、従業員8人分の賃金を預金口座に振り込ませた。
(神奈川県警)
- 検挙事例 (3)
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住吉会傘下組織組長らが、東京都内の区役所に対し、海外の病院で入院治療を受けた事実もないのにその旨を記載した虚偽の国民健康保険療養費支給申請書等を提出し、療養費を騙し取った。 (警視庁)
- 検挙事例 (4)
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山口組直系組長らが、自動車の新規登録を運輸局に申請するに当たり、所有者を偽った申請書類を提出し、自動車登録ファイルに不実の記録をさせた。
(北海道警)